
Whitebook
早くからトータルコミュニケーションを提供してきたアド・コムグループは、2003年春から年4回『whitebook』を発行している。ラグジュアリーブランドのVIP顧客をターゲットに、ほかのメディアでは伝えにくいブランドの価値を伝えるのが狙い。読者は同誌を通じて、通常の広告では得られないブランドの哲学や伝統を深く体験することができる。
優良顧客に効率良くメッセージを届ける新メディア
「すべての企業には必ずターゲットがあり、そのブランドの世界観があります」とアド・コム グループ代表取締役社長のダンネンバーグ・アンドレアス氏は語る。ブランドメッセージを伝えるのが広告やPR、イベント、WEBといったコミュニケーションだが、正しく伝えるには、それらすべてをコントロールすることが不可欠となる。1987年に創業したアド・コム グループでは、早くからトータルコミュニケーションの提供に力を入れてきた。各分野のスペシャリストをグループ内に集め、クライアントのブランドビルディングに貢献している。
そんな同社が2003年に創刊した『whitebook』は、これまでの経験から生まれた新メディアといえる。さまざまなラグジュアリーブランドのコミュニケーションを制作する中で、クライアントの優良顧客にしっかり届くメディアがないと感じていた。また一方では、同社のビジョンである“信頼性”をより明確に打ち出したいという思いがあり、それには自分たちのブランドを作ることが最も強いと考えたわけだ。「この雑誌はある意味、広告業界における当社のブランド作り。またブランドバリューの高い企業の姿を伝えていくステージと捉えています。
「whitebook」とは「白書」の意。ある分野の最も信頼性の高い文書というイメージで名ずけた。デザインや紙質などグラフィックにもこだわり、高品質なメディアを追求している。発行部数は2万部。各ブランドの顧客に進呈しているほか、参加ブランドがホテルの客室やショールームに設置しているが、販売は行っていない。来春からはアメリカ版とアジア・パシフィック版も展開する予定だ。
哲学や伝統を知り、ブランドを深く体験する
『whitebook』のテーマは“Luxury of lifestyle” だ。“Luxury of lifestyle”とは本当の豊かさ。商品やサービスといった表面に見えるものだけなく、それらが培われた背景や根底に流れる魂にこそ本物のゆたかさがあると考えている。一業種一企業に限定し、ブランドの哲学や伝統といったほかのメディアでは伝えきれない姿を丁寧に伝えている。たとえば2005年秋号ではドン ペリニヨン、ロエベ、デンマークの音響機器ブランドのバング&オルフセン、三井不動産、ポルシェ、カッシーナ、マンダリン オリエンタル 東京、 UBS銀行などを8ページにわたって紹介している。
また、絵画や彫刻などの芸術や日本の匠の技、食を追ったページもある。「読者には世界中で美味しいものを食べている方が多いので、店を取り上げるだけでは意味がない。料理人やお店の背景など、より深い部分を伝えたいと考えています」。
さらに、「ノブレス・オブリージュ(=貴族の義務)」というコンセプトも持ち、チャリティー活動にも積極的だ。これまで日本盲導犬協会や難民を助ける会、国境なき医師団日本などの活動を紹介してきた。年末には読者を招いてクリスマスパーティーを開催。さまざまなブランドからほかでは手に入らない商品が出品され、チャリティーオークションが行われる。1000万円以上の寄付金が集まり、各種団体に寄付される。「イベントは、ポルシェの顧客がハリーウィンストンの魅力を知ったり、ロエベの商品を手に取る機会にもなります。企業にも顧客にも、メリットが大きいでしょう」。
日本企業はまだまだブランドの背景や歴史を伝えていくことが苦手だ、とダンネンバーグ氏。「企業の根本を見極め、長期的視野に立って伝えていくことが必要。それはエンジニアリングと同じように、企業の将来を担うはずです」。